海原優騎の日記とか

日記とか思いとか散文とか

散文

夢見る少女は眠れない。

夢見る少女は眠ることができない 。 起きながらにして夢を見ている存在だから。 眠ったところで見るべき夢が存在しないのだから。彼女が心の相談室にやって来たのは梅雨の去ったばかりの6月終わりのことだった。職員室では、集中力がなく授業中もよく居眠り…

哲学甲虫

哲学甲虫は考える。兜虫とは何をもって兜虫になりうるのか。角か強さかその他か?その場合メスはどうなる。 哲学甲虫は考える。ムカデは何をもってムカデになりうるか。名のままに百本の足を持っているかどうかでなりうるか?実際にはほとんどのムカデは百本…

透明猫

1週間前から透明猫のコロを飼うことになった。 最近、空っぽの家に帰るのが寂しいのである。そのため、猫を飼う必要がある。そう思い至った。 私は小さい頃、それこそ小学生ぐらいの頃に猫を飼っていた。老描のコロを飼っていた。その頃は両親が仕事で帰っ…

机羊

うちの机は羊です。 もちろん生きた羊です。背中の毛は刈られています。 だってモコモコしていたら羊としては可愛いけれども机としたら不良品ですから。うちで使う紙は和紙がほとんどです。 書き損じた紙は羊の餌になるのです。 和紙に食紅を使って物書きを…

パンケーキ熊

僕の友人の話をしよう。パンケーキ熊の話。 パンケーキ熊が家に来るようになったのはある6月1日のことだった。以降、毎朝訪れるようになった。 彼はいつも僕の睡眠を邪魔せぬように静かに家に入って来る。静寂の中でパンケーキを作り、コーヒーを入れて、…